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2010年日比谷野音公演の感想(その3) [ライブ]

2010年日比谷野音公演の感想の「最終回」となります。
前半、飛ばし気味のゲキ渋。
中盤、バラード交じりの「よい意味」でのいつもの展開。
後半は、いつもどおりのライブ定番曲めじろ押し。
中盤の息切れはひきづりながらも、
スタミナとはまた別の力を発揮して持ち直したのが後半。
演奏が乱れたこと、思うように声が出ないことへのもどかしさはあったが、
そうして乱れてもかえってバンドの力が感じられるのが、ここ最近のエレカシである。

このレポートを終えた後に、公開を控えている毒舌がある。
その毒を差し向ける相手は、
2010年日比谷野音のエレカシは、昔の若さを「思い起こして解き放」っていたとか、
(アンコールでは)「収まりがつかない苛立ちがそのまま描き出された」とか、言っているのだが、
私はこれにまったく賛同できない。
楽曲によって、演奏がうまくいかなかったりして、悔しそうに立腹するところはあったが、
総じて機嫌はよかったし、メンバーとの衝突もなかった。
観客にも感謝の思いを振りまいていた。
「荒々しい」エレカシにまた出会いたいのは私も同じだが、
だからといって、「なかった」ことを「あった」ように語ってはいけない。
「なって欲しいこと」を「なった」ように語ってはいけない。



 2010年日比谷野音公演の感想  その1 / その2 / その3



19.ハナウタ~遠い昔からの物語~
20.FLYER
21.ガストロンジャー
22.珍奇男
23.Baby自転車
24.悲しみの果て
25.花男
26.デーデ
27.新曲

19.ハナウタ~遠い昔からの物語~

「次はみんなに捧げる歌です。死んでも生きてる気がする、っていう。OKエブリバディ、それじゃあ1、2、3、4、」というショートMCから、【ハナウタ】。これも6人編成《エレファントカシマシS》のための楽曲なので、ばっちり決まる。UNIVERSALの楽曲のなかでも歌詞に字余りがない、音数にマッチした歌唱なので、CANYON時代の歌同様ブレが少ない。この曲での鍵盤はむしろないと困るくらいの存在感がある。蔦谷コーラスも「アー」であるから、問題なし。【ハナウタ】は【月の夜】と違ってテンポがあるので、息継ぎと高音が難しく、ややゼーゼーしていた。夏公演で2時間近くなるとしようがないが、喫煙量かなと思うところも、なくはない。アルバム制作途中に日比谷野音公演は厳しい。おそらく、夏フェスと平行してさらにアルバム制作は続くのだろう。発売は晩秋か年末、それとも年明けになるのかな。

20.FLYER

本編最終盤【FLYER】。「OKトミ」のかけ声からスタート。いつもより勢いがない印象があったのは、テンポがやや遅かったからか。家にある昨年の野音DVDの音源と比較してみたが、やはり今年の【FLYER】は息切れするような、少しバテ気味の演奏に聞こえた。宮本の声は昨年の2日目ほどは嗄れていなかったが…。手持ちマイクで、右へ左へ歩きながら、「約束の歌」を熱唱。首を振っていたのは、石君と成ちゃん二人で、いつもなら首振り組みの宮本は平生どおりに直立で歌っていた。終わると、息つく間を入れずに【ガストロンジャー】。

21.ガストロンジャー

ギターの石君のいつもリフからトミのドラムへと受け渡されて、宮本Hip-Hopがはじまる。宮本は【FLYER】から立て直して、吠えまくっていた。この曲は高音がないのと、自分のタイミングで比較的自由に息継ぎできるから楽だったのだろう。日比谷野音2010バージョンもアドリブ満載。「江戸時代から変わってない」「縄文時代から変ってない」「さっき自問自答の末、1億回目の結論を下しました」「1万回目の旅に参りましょう」「3000年前の論語にも載ってますし、変りません、進化しません」。これら新しいフレーズを聞く度に、【ガストロンジャー】という曲はトーキング・ブルースもしくはラップなのだなあ、と強く思う。歌い終わると「サンキュー」と言い残しステージを後にする。



22.珍奇男 アンコール

汗を拭く衣装替えの時間が2分くらいあって、すぐにステージに戻ってくる。たしか、宮本が先頭だった気がする。

アコースティック・ギターを抱えて「男」イスに腰掛けたので、例のあれだなと直感する。アンコールの【珍奇男】も実は久しぶり。ざっと2年くらいのセットリストを眺めたが、中盤で披露するのが【珍奇男】のポジションだったので新鮮。途中、「恐ろしや世間の風」の後で、「姿は見えないのに…」とセリフを足す。一呼吸入れる休息が利いたのか、息切れがなくなり、力強い歌唱が戻っている。後奏の早弾き部分のギターが、早弾き過ぎていつものグルーブに欠けていた。ご機嫌な宮本は、本日何度目かの「高緑ぃ」と、成ちゃん煽りを敢行。

23.Baby自転車アンコール

【BABY自転車】。かわいい歌詞の曲です、と言ったのはこの曲のMCだったか。【珍奇男】から一転、ポピュラリティのあるラブソングへ。この振れ幅こそがエレカシの持ち味である。そもそも、宮本は自転車に乗るのだろうか? その設定自体がフィクションのような気がする。自転車と宮本浩次という図が、もう似合わない。スクーターやバイクなら問題ないが、自転車をこぐ姿が想像できない。徒歩でないなら、電車かバスに乗る。学生たちの通学風景を見て考えたに違いない。

24.悲しみの果てアンコール

アンコールでの【悲しみの果て】はいつ以来だろうか。私がもっているセットリストの統計では、だいたい前半で演奏するようなデータになっており、私のなかの印象でも前半から中盤のキラーチューンだと思っていたので、アンコールでの演奏は意外。ビシッと決まればよかったが、よれて、演奏と歌がずれた印象がする。最近はビシッと決まる【悲しみの果て】を聞き慣れていたので、危なっかしい出来に、何か懐かしささえ覚えた。『DEAD OR ALIVE』か『扉』の頃にはよくあったことである。

25.花男アンコール

嫌な流れを引きずって【花男】。ギターとドラムがずれたまま入ろうとして、ミヤジに制される。カウントを取り直して【花男】。テンポずれを直そうとしたのか、歌のスピードが遅い。スピードを途中で上げようとしたが、今度はバンドがついてこなかったので、結局スローテンポで進んで行く。歌唱中の機嫌が悪くなっていく。進むほどにバラバラになっていく感じも久しぶりだ。昨年の1日目の【やさしさ】が似たような感じだったが、あれは2日目に挽回した気がする。それでも少しずつ、合わせようと努めていたのだが、結局はまとまりきらずパンク・バンドみたいなドロドロとした音の固まりの演奏になってしまった。アンコールの後半に持ってきたわりには、出来が今ひとつだった。

26.デーデアンコール

そんな出来を引きずっていたので、【デーデ】のイントロで総合司会から「遅い!」の檄が飛ぶ(遅かったのは【花男】の歌唱テンポが、遅かったからなのだが…。それはバンドのずれを合わせるためでもあったのだから仕方ない)。先ほどのスローテンポを挽回すべく、早い歌唱で歌いはじめたので、またしてもバンドは慌てる。「遅い」と言われたから、早くしようと懸命になるバンドだが、意外にも宮本の歌唱は普通のテンポなので、そんなに高速にはならない。【デーデ】は総合司会の変速テンポをバックがもり立て、立て直した感じがある。



27.新曲 Wアンコール

Wアンコールに登場して、まずやったのはバンド紹介。解説はのぞき、パートと名前を読み上げ、最後に「今日は本当にどうもありがとう」と客席に礼を述べた。「すばらしい日比谷野音のコンサートになりました。また会おう」という宮本の言葉は屈託がなく、まるでさっきの一触即発の鬱屈がウソのようであった。切り替えが早くなったのだろう。ひとつのことへの拘泥よりも、今を生きていることへの感謝、そして充実が心を満たしているのかも知れない。その昔なら、Wアンコールなどせずに帰ったかも知れない。事実2003年の日比谷野音はたったの16曲だったのだし。

恒例のWアンコール。今年は新曲を披露して風のように去っていった。…と言いたいが、TV中継用にライトアップがいつも以上にきつかったので、みんなよろよろと身体を引くように去って行った。【歩く男】につづく【新曲】であるが、こちらはイントロなし頭から歌が始る。「いつか見た夢を正夢にしよう/つまり毎日を行け!」というサビ始まりである。最近のエレカシは本当にサビはじまりが多い。歌詞については、コラージュ的な形式で、これまで印象的につかわれたフレーズを組み上げたものだ。ひとつひとつのフレーズは大好きなものが多いのだが、全体としてはやや歪で、すこしとってつけた印象がした。私には、メロディとアレンジが少し苦手な種類の曲ということもあるのだろう。歌詞がもう少し錬り上がっていれば、曲調うんぬんではなく、大好きになる可能性あったのだが、内容的には【幸せよ、この指にとまれ】とほとんど同じで、しかも楽曲の完成度が向こうの方がすぐれているので、少し悪い意味のマンネリを感じてしまった。もちろん、エレカシがテーマのマンネリをうまく調理して、数々の名曲とつくってきたことは百も承知だ。しかし、このWアンコールの新曲は、アウトテイクでもよいくらいの未完成さが残っていると、個人的には感じてしまった。アルバム制作の閉め切りに間に合わせるために、急いだのかもしれない。アルバムが完成して、ピースのひとつとしてそこに嵌ったときに、日比谷野音では不出来に感じたものが杞憂に終わることを切に願う。全キャリアを好きにはなれないにしても、ひとつでも多くの曲と共感していきたいというのは、ファンなら誰しも思うことである。
(了)

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