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エレカシファンが好きな作家 [エレカシファン]

エレファントカシマシDBのプロフィール・ページに、
「好きな著名人」という項目欄がある。
読書好きの多いエレカシファンの場合、この項目は自然と「好きな作家」アンケートに近似する。
現在「エレカシDB」のプロフィール登録者は約650人(2011/02/05)。総得票数363票。
うち、女性は503人(77.3%) 男は148人(22.7%) 。
これを集計してみるとなかなか興味深かった。


総合集計

1位: 太宰治 (23票) 2位: 宮澤賢治(15票) 3位: 村上春樹(13票)
5位: 司馬遼太郎(12票) 6位: 東野圭吾(11票)


6位: 町田康/夏目漱石(10票) 8位: 宮部みゆき(7票)
9位: 京極夏彦(6票) 10位: ナンシー関/江戸川乱歩/森鴎外/中島らも(5票)


文句なしに太宰治が1位を獲得するのはわかる気がする。
しかし2位の宮澤賢治がかなり不思議である。つぎに童話作家・詩人が来るのか、…と。
3位の村上春樹も意外である。幻想的な純文学の作風が強い春樹がここへくるかと。
同じ村上なら、村上龍が来る方が私としては腑に落ちる。
司馬遼太郎はまあどこへ来てもわかる。
東野圭吾、宮部みゆき、京極夏彦らミステリ作家の上位ランクは、
エレカシ・ファンの女性比率の高さが影響していると思われる。
町田康は男性陣が好きな作家であろう。
森鴎外を大差ひきはなして夏目漱石がいるところが、なかなか興味深い。
やはり、文語調・漢文調の多い鴎外は、とっつきにくい事を証明している。
太宰があれほど上位なら、次点に鴎外か荷風が来るのが順当のように思えるが、
みなさん正直なところ、鴎外や荷風は古風が過ぎて苦手なのかもしれない。

ジャンル別集計

ミステリ
1位: 東野圭吾(11票) 2位: 宮部みゆき(7票) 3位: 京極夏彦(6票)
4位: 江戸川乱歩(5票) 5位: 伊坂幸太郎(4票)


ミステリのランキングを見るとわかりやすく、女性読者である。
東野圭吾はあまり男性に人気がないと考えているのは私の偏見か。
宮部みゆきにしてもそうだし、京極夏彦もそうだろう。
男性読者なら、松本清張や横溝正史、森村誠一、内田康夫、西村京太郎このあたりは入ってくるだろう。
江戸川乱歩が入っているのは意外。むしろホームズのコナン・ドイルのほうが自然に思える。

時代小説
1位: 司馬遼太郎(12票) 2位: 山本周五郎(3票) 3位: 山田風太郎(2票)
4位: 宇江佐真理/宮城谷昌光/山本一力/酒見賢一/池波正太郎/畠中恵/飯嶋和一(1票) 


エレカシファンに「時代小説」は人気がないようで、
上位ランクの司馬遼太郎以外は3票以下の得票である。
池波正太郎(『鬼平犯科帳』で著名)や柴田錬三郎(『眠狂四郎』シリーズで著名)、
藤沢周平や吉川英治などが上位に入ってこないのが、男性比率の少なさのなせるわざ。
その代りに、宇江佐真理や山本一力、宮城谷昌光、飯嶋和一が揚げられているのが渋い。
『雷電本紀』や『始祖鳥記』の飯嶋和一は私も好きな作家だ。
さらにいえば、3位の山田風太郎は私の敬愛する作家5本の指に入る。

純文学
1位: 太宰治(23票) 2位: 村上春樹(13票) 3位: 町田康(10票)
4位: 中島らも(9票) 5位: 坂口安吾(5票)


総合ランキングの上位入賞者がここに集まっている。
つまり、エレカシファンは「純文学」の系譜に属する作家が好きだと考えて、
ほぼ間違いないだろう。
ただ、ここに永井荷風や田山花袋、国木田独歩など、明治・大正期の作家が少ないのが残念。
石川達三、石川淳などの太宰治と同世代と思われる作家人も少ない。
大江健三郎や安部公房も入ってこないのかと思うと、
読書傾向は「純文学」であるが、その内実はかなりポピュラー志向なのかもしれない。

一般小説
1位: 重松清/椎名誠(4票)
2位: 五木寛之/山崎豊子/松尾スズキ/村上龍(3票)


このジャンルになると、いわゆる人気作家のランキングになっている。
村上龍がもう少し得票するかと思ったが、それほど人気は高くないらしい。
ここも得票数が低調なので、あまりコメントする意見が見当たらない。
森美富美彦(『四畳半神話体系』)や有川浩(『図書館戦争』シリーズ)、
桐野夏生(『OUT』『東京島』)、林真理子とか、案外と入ってこないものである。

エッセイ(コラム)
1位: ナンシー関(5票) 2位: 向田邦子(3票) 3位: 群ようこ(2票)
4位: 阿川佐和子/伊丹十三/原田宗典/山本夏彦/辛酸なめこ/中村うさぎ/麻生久美子(1票)


ここも得票数が低調なので、あまりコメントする意見が見当たらない。
ただ、ナンシー関が1位というのが、エレカシファンの年齢層を露見している。
今の10代~20代の人は、週刊誌コラムの黄金期を築いたこの人の毒舌を知らないだろう。
ナンシー関は「消しゴム版画」で有名人の似顔絵を彫る人で、
テレビや芸能界について歯に衣着せぬ毒舌で人気を誇ったコラムニストである。
超巨漢がわざわいして早世してしまった。
向田邦子や群ようこは順当なところだが、全体的に女性読者の好む作家が多い。
私なら斉藤美奈子(『紅一点論』『文章読本さん江』)や宮沢章夫(『青空の方法』)を推したいところだ。
宮本浩次を好むならば、『幕末百話』の篠田鉱造とか『明治人物夜話』の森銑三は押さえておいてほしい。
戸板康二の『ちょっといい話』なんていうのも、なかなか乙である。

近代小説
1位: 夏目漱石(10票) 2位: 森鴎外(5票) 3位: 芥川龍之介/谷崎潤一郎/内田百閒(3票)
6位: ドストエフスキー/永井荷風/夢野久作(2票) 
7位: チェーホフ/ヘミングウェイ/正岡子規/泉鏡花(1票)


近代文学が極めて低調なのが誠に残念。ほとんど国語の教科書レベルである。
ボードレールやポーやランボーなど、西欧近代詩人が入っていないのが何より残念。
西欧作家ならフォークナーが私はずいぶん好きだった。あとマーク・トウェインなどだ。
冒険譚としては、アレクサンドル・デュマの『三銃士』シリーズを夢中で読んだものだ。
有島武郎、志賀直哉ら白樺派も私はだいぶ読んだ。
「山月記」でお馴染みの中島敦も、かなり通好みで私は好きなのだが、
教科書以外ではあまり読む気にならないのだろうか?
石川啄木や萩原朔太郎、日夏耿之介、西条八十、堀口大學など、
詩人を挙げる人もほとんどいない。それが悔しい。
一項目を費やしている種田山頭火も誰も推していなかった。

ざっと概観してみての総評は、
エレカシファンは傍で思うほど「通好み」ではないということである。
基本的には一般の「読書好き」と同じレベルの読書傾向にある。
私も言うほど「通」ではないが、今回調べたランキングよりはもう少しマニアックである。

音楽でもそうだし、読書でもそうだが、
あまり好きなジャンルにのみ偏って近視眼になるのはよくない。
広く浅く、脇目をふっておくことが、好きな物をより深く知り理解する手助けになるのだ。
私は「ちくま日本文学」(全40巻)という文学全集に大変お世話になった。
この全集は編者の撰(せん)が素晴しいので、1巻1巻読み応えがある。
この全集で新しく魅力を知った作家が数多くいる。

それから、日本の詩人たちをもっと多く知って欲しい。
公共図書館には必ず、日本の詩人の選集が並んでいるので、
買うと高いが借りるとお金がかからないので、ぜひ好きな詩人を捜してみて欲しい。
『日本詩人全集』(新潮社)か『日本の詩歌』(中央公論社)あたりは必ず揃っているだろう。
エレカシファンはダダイスト傾向が強いので、
高橋新吉や安西冬衛、北川冬彦などをまず手にしててはどうだろう。
抒情詩が好きな人は、北原白秋や木下杢太郎、西条八十あたりがおすすめ。
(了)

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