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『MASTERPIECE』分析 サンプル [分析]

『MASTERPIECE』ツアーに参加できそうもないので、スタジオ版に浸りつつ、
歌詞(ことば)の分析をちまちまやっている。
すでにいくつかの項目で感想を述べているように、
新作『MASTERPIECE』は新鮮さと「これまでどおり」がまじった作品で、
あたらしい印象なのによく聴くと懐かしいような、不思議な感覚にとらわれます。
【Darling】に顕著なあたらしい作風という印象も、
エレファントカシマシのこれまでの既発作品を丹念に辿ると、
突然に出てきた作風ではないことがわかる。
サウンド面でのあたらしさはきっとあると思うが、歌詞で表現される世界は、
それほど唐突でないことはよくわかる。

エレカシ短歌をつくる仮定で抽出した作品のキーワードを、
既発作品に訪ねながら分析してみた企画が、どんな感じになるのか、
試みにまとめてみようと思う。
とりあえ【世界伝統のマスター馬鹿】1曲のみをサンプルとして。

ブログでデータ系の細(こま)いことを報告しようとすると、
どうしても記事が長くなっていけない。今回やって見て痛感した。
だから、調べ上げたデータの全貌は別サイトに置いておいて、
本ブログではそのよいところだけ摘むことにする。
正味のところ、キーワードがどの曲にあるかは知りたくても、
全部の曲の該当箇所は書き出さなくてもよいだろうし、
ヒット数の順位付けもいらないと言えばいらないからである。
論文を書いた人ならわかるだろうが、
引用・出典・図表は体のいいアリバイみたいな動機が強い。
文系学科の論文なんて所詮は我田引水、論者のつごうなのである。
「右」を「左」と読み替えたり、「上」を「下」に見せたりすることも、
また、筆者の腕の見せ所。

私の読み解きという偏見がいらない人には、ぜひ生データの方をご覧いただきたい。
データというのは、生を見て、それぞれが読解すればよい、というのが本当であるから。

【世界伝統のマスター馬鹿】


キーワード
「世界開闢」「Sky is blue」(青空は別項)「嘘つき」「デリケート」「野郎」
「中年」「新聞」「傷だらけ」「金輪際」「時計」「馬鹿」


歌詞の印象がひときわ強烈なこの作品から、11のキーワードを抽出。
この歌詞がどの作品と共通しているのかを見ていこう。

「開闢」 2曲

【コール アンド レスポンス】  開闢以来2000年
【世界伝統のマスター馬鹿】  今日は世界開闢以来

「Sky is blue」(青空は別項) 4曲

【真夏の星空は少しブルー】  真夏の星空は少しブルー
【Sky is blue】  Sky is blue
【ジョニーの彷徨】  窓の外はスカイブルー
【世界伝統のマスター馬鹿】  No.1 sky is blue

「嘘つき」 8曲

【ふわふわ】  ウソウソウソウソウソだろ
【自宅にて】  うそをならべながら
【この世は最高!】  お前のウソもあいつのウソも
【さらば青春】  嘘つきじゃないさ
【夢のかけら】  君はネコで俺は嘘つき
【リッスントゥザミュージック】  ひとつの嘘さえも
【幸せよ、この指にとまれ】  信号が点滅していたなんてウソさ
【世界伝統のマスター馬鹿】  おい嘘つきめ

「デリケート」 1曲

【世界伝統のマスター馬鹿】  心デリケートなんだよね

「野郎」 3曲

【極楽大将生活賛歌】  御機嫌野郎が
【I am happy】  インチキ野郎が
【世界伝統のマスター馬鹿】  ボケナス野郎はおまえだ

「中年」 1曲

【世界伝統のマスター馬鹿】  中年が太陽見て

「新聞」 5曲

【おはよう こんにちは】  新聞でも読んで
【ひまつぶし人生】 新聞は書いた。
【ドビッシャー男】  新聞を読んで
【化ケモノ青年】 新聞を捨ててくれ
【世界伝統のマスター馬鹿】  新聞の脇からチラチラ

「傷だらけ」 8曲

【遠い浜辺】 俺の傷跡だらけ
【soul rescue】  傷だらけさ もう
【傷だらけの夜明け】  傷だらけの夜明けに
【パワー・イン・ザ・ワールド】  傷だらけの自由
【雨の日に・・・】  傷だらけの旅人。
【悪魔メフィスト】  俺の歴史は傷だらけのフリーダム
【約束】  傷だらけの心が今見つけたぜ
【世界伝統のマスター馬鹿】  心傷だらけのくせによ

「金輪際」 2曲

【good morning】  金輪際 文句いわない
【世界伝統のマスター馬鹿】 金輪際人生見切りつけたつもりになって

「時計」 6曲

【おはよう こんにちは】  ちらりと時計をのぞいたら
【good morning】  オレのオレの体内時計カチカチ
【必ずつかまえろ】  正確な時計以上に
【明日への記憶】 時計の針が俺をひきずる
【Darling】  時計の針リセットして
【世界伝統のマスター馬鹿】  壊れた時計ぐるぐるしてる

「馬鹿」 13曲

【太陽ギラギラ】 バカをすて
【珍奇男】  私はばかでしょうか
【さらば青春】  ばからしいぜ
【はじまり今】  バカらしくも鮮やかな夢を
【情熱の揺れるまなざし】  バカな人生よ
【生存者は今日も笑う】  そんなバカな奴さ
【DEAD OR ALIVE】  バカに緻密なコンピューターゲームを
【生命賛歌】  何んて馬鹿だね
【ハロー人生!!】  バカバカしいオレの人生に
【ろくでなし】  青すぎてばかに目にしみたぜ
【こうして部屋で寝転んでいるとまるで死ぬのを待ってるみたい】  馬鹿馬鹿しいや
【約束】  馬鹿だね俺は
【世界伝統のマスター馬鹿】  世界伝統のマスター馬鹿


レコード会社別ヒット数

1位 UNIVERSAL SIGMA 21ヒット
2位 EMI 16iヒット
3位 EPIC 9ヒット
4位 PONY CANYON 7ヒット



アルバム別ヒット数

1位 MASTERPIECE  14ヒット
2位 good morning  6ヒット
3位 THE ELEPHANT KASHIMASHI Ⅱ  4ヒット
3位 扉  4ヒット
3位 SINGLE  4ヒット
6位 愛と夢  3ヒット
6位 俺の道  3ヒット
6位 悪魔のささやき  2ヒット
9位 東京の空  2ヒット
9位 STARTING OVER  2ヒット
9位 昇れる太陽  2ヒット
12位 浮世の夢 1ヒット
12位 エレファントカシマシ5  1ヒット
12位 ココロに花を  1ヒット
12位 明日に向かって走れ-月夜の歌-  1ヒット
12位 DEAD OR ALIVE  1ヒット
12位 町を見下ろす丘  1ヒット



以上の結果からわかること。
ユニバーサル期の作品群にいちばん適合している楽曲なのはいうまでもない。
次に、どの時代の曲に似ているのか。
この曲に限っていえば、EMIとEPICの作風が歌詞に現れている。
『good morning』『扉』『THE ELEPHANT KASHIMASHI Ⅱ』の作風に近い。
攻撃的な作風が『good morning』、克己の作風が『扉』、内省的作風が『THE ELEPHANT KASHIMASHI Ⅱ』
を参照しているように推測される。

この曲に関してはキーワードが多く重なる楽曲は少なく、
2つ以上のキーワードが共通した曲は、
【good morning】  「金輪際」「時計」
【おはよう こんにちは】  「時計」「新聞」
【さらば青春】  「馬鹿」「嘘つき」
【約束】  「馬鹿」「傷だらけ」

歌詞のキーワードから共通するテーマを持つ楽曲を探ると、このようなことがわかる。
音楽性や所属レコード会社の作風の印象に隠れてみえていない、
意外な作品との共通点(共通項)が見えてくる。(見えなくてもよい、という意見もあるだろうが)

このように歌詞のなかから印象的なキーワードを抽出し、
それを他の楽曲のフレーズのなかに検索する作業を全11曲やり終えた。
これをアルバム『MASTERPIECE』を理解する手がかりにしようと集めてみたが、
やはり、全部をここに発表するのは冗長に過ぎるので、データは別サイトに掲載して、
端的な結果と、そこから分析される作品傾向を解説していこう。
とりあえず、今のところは、このような結果が出てくるというデータのサンプルをまず提出するにとどめる。
(了)
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