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二次創作としての「エレカシ短歌」(流行らないなあ) [二次創作]

文章好きの私としては、「短歌」や「俳句」は非常にやりやすい二次創作だと考えている。
だから、敬愛対象が何であれ、言葉をつかった何らかの手がかりがあれば、
そのエッセンス(抽出)を規定文字量に収めれば完成するのだから、これほど簡単なことはない。
あとは言葉えらびのセンスだけで勝負できる。

弾き語り(カバー)や似顔絵イラスト(デザイン)などは、
楽器や絵筆が達者でないとどうにもならない。
どちらも努力ではどうにもならない向き不向きも出る。
しかし、こと文章であれば、得意不得意があるにしても出来ない人などはまあいない。
だから、原文である歌詞があって、それを縮めるだけの二次創作というのは、
「手抜き」だと私は考えている。だけど、この「手抜き」は「手抜き」なりの難しさと面白さがある。
歌詞から単純に引っこ抜いて文字量合せしただけでは、詰まらないからである。
詰まらないだけでなく、単純に縮めると全体の凝縮にはならない、ということがよくわかる。
それから、歌詞の表現をそのまま使うと、著作権上もよくないということもある。
元ネタを明示した二次創作物であっても複製だけのコラージュは、ニセブランド品めくからである。
ゆえに、大胆な翻案をすることも醍醐味であり、翻案すればするほど著作権侵害がクリアされる。

「短歌」や「俳句」は短詩型(たんしけい)と言われるジャンルなのだが、
手軽にできて奥が深いというところに良さがあり、
川柳や狂歌を見てもわかるとおり、掛け詞や翻案などがしやすい芸術でもある。
馴れれば韻律や拍子なども入れられるし、五七五や三十一文字で足りなければ、
長詩型に移行しても全然かまわないのである。
いや、小説が書ける人ならば、はじめから歌から小説を二次創作しても構わないのである。
しかし、一般的にいってそれが難しいから、短詩型の二次創作を私はおすすめしている。
ツィッターをやっている人ならばなおさら、短詩型というのはぴったりの二次創作である。

当ブログに「エレカシ短歌の作り方」という一項があるので、
これを参照すれば誰でもだいたい作れるようになると思う。
誰やら真似をしてくれる人が出れば、なかなか流行ると思うのだが、
当ブログにはほとんど影響力がないので、二次創作として短歌を余所で見たことがない。
二次創作の短歌を作ることのよさは、作品愛と作品理解が同時に深まることである。
元歌の言葉の使い方、構成、エッセンスを自分なりに捉えることによって、
作品の本質が理解できると同時に、自分なりの要約をすることで好きな作品をよりに好きになれるのだ。
たとえば【悲しみの果て】という作品、これがどんな内容なのか、
そのままだと全部歌ってみせないと友人知人に紹介できないが、
エレカシ短歌にしておけば

悲しみのあとの笑顔を信じおり
花挿し飾る
いつもの部屋で

という風に31音でギュッと要約して、歌の魅力を紹介できるのだ。

それにしても、やってるのは私ばかりである。
先達には寺山修司という先人もいるから、大きい目で見れば私だけではない。
寺山修司は短歌の元歌から俳句を作ったり、いくつかの俳句から短歌をつくったり、
小説や詩集の一文から短歌を作っていたりしたので、二次創作のようなことを、
すでに60年代からやっていた人だ。しかも、凄まじいセンスなので驚かされる。

私も寺山には及ばないが、それなりの言葉センスを発揮して、
元歌を凌駕するような二次創作になればと思い、「エレカシ短歌」を創作している。
そして、その普及と啓蒙活動の一環で、たまに「エレカシ短歌」企画をやっているのだが、
ときおり、自分ながらに「エレカシ短歌」の長所に気づくことがある。
それが今回の「新春ライブを振り返る」企画であった。
どうして宮本浩次がセットリストを組み立てて並べたかが、
私が作った「エレカシ短歌」を眺めていくことで、少しわかったからである。
「燃える」とか「冬の日」とか、繋がっているキーワードがパッと見つかった。
これは今回あたらしく作った「エレカシ短歌」ではないから、
意図的に歌詞から抜き出して集めたわけではなく、
エッセンスで組み立てた「エレカシ短歌」を並べて眺めていて、見えてきたものである。
「光」や「灯(火)」というのが何かテーマとしてあったのかなあと類推される。

【今はここが真ん中さ!】と【女神になって】の繋がりはちょっと聴いただけでは気づきにくいが、
「炎」「灯す」という言葉に気づくと、その地続き感が理解できる。
かように、「エレカシ短歌」で「手抜き」企画をやることのメリットもあることを理解されたい。
それを理解していただくと、「手抜き」なりの良さ、噛み応えも賞めていただけると思うのである。
(了)

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