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意気込みは冒頭曲にあり [分析]

エレカシのオリジナル・アルバムは2009年の段階で19枚あり、約20枚のキャリアがある。デビューしたEPICに7枚。PONY CANYONに3枚。EMIに7枚。universal sigmaに2枚。以上で、合計19枚である。

各所属レーベルにおけるエレカシ・ファンの分析において、すでにバンドの音楽傾向らしきものについても軽く触れた。どのバンドにおいてもそうであるが、会社を移籍するということは、単に制作体制が変わるだけではなく、移籍を契機にしてあたらしい音楽性に変化しようとするのが一般的である。エレカシもその一般的な傾向に通じた変化をしている。それはCANYONへの移籍を例に取るまでもない。

しかし、私はエレカシの本質はファースト・アルバム以来ゆらいだことはないと理解している。それは、音楽的なアレンジの変化とはまったく別のタイプの、音楽の核心部分にある共通性である。
そのことを、宮本は何度となくMCで、「自分たちは同じことを何度も違うカタチで表現している」と言っている。そう、エレカシの歌の内容はファースト・アルバム以来ほとんどブレていないのだ。

エレカシのデビュー時の意気込み、エピック時代の意気込みはアルバム冒頭の【ファイティングマン】にある。Rolling Stonesの名曲【Streetfighting Man】にオマージュを捧げたと思われるこの歌は、自分たちのこと、R&Rヒーローのことを歌い上げている。すなわち憧れの表明。そして、目標の表明である。

そして、第2のデビューと言ってもいい、アルバム『ココロに花を』においては、【ドビッシャー男】を吹込んでいる。この曲と【ファイティングマン】がほとんど共通の内容であることは、あんがいに指摘されていない。いちばん明確に共通している「正義を気取る」というフレーズを見れば一目瞭然だろう。宮本は、ファーストアルバムと同様のインパクトをつけるために、第2の【ファイティングマン】をそこにおいたのである。

となれば、第3の所属レーベルである、東芝EMIの『good morning』の冒頭曲、【ガストロンジャー】が同様に【ファイティングマン】のバリエーションであることは自ずと気づくだろう。ここでは「正義を気取るのさ」の代わりに、「化けの皮をはがしに行こうぜ」という新しい表現にはなっているものの、本質はまちがいなく【ファイティングマン】である。むしろ、【ファイティングマン】の逆説的な表現をストレートに言い直した感さえある。

そして、現在の所属レーベルuniversal sigmaへの移籍第1弾アルバム『STARTING OVER』。その冒頭は【今はここが真ん中さ!】。これは単純に【ファイティングマン】のバリエーションとは言い切れないほど、変容している。で、なぜ【ファイティングマン】のバリエーションでないのかな……考えていて、はたと気づいた。移籍第一弾シングルの【俺たちの明日】の存在である。あれは厳密にいえばレーベル移籍後のアルバム冒頭曲ではないが、意気込みとしてはアルバム1枚ぶんにも匹敵するような制作期間を費やしている。ということは、これまでレーベルの第1作の冒頭においてきた【ファイティングマン】のモチーフは、【俺たちの明日】でやりきってしまったから、アルバムに持ち込まなかったのではないか。

そんなことを考えていると、
【ファイティングマン】→【ドビッシャー男】
→【ガストロンジャー】→【俺たちの明日】
という変遷に思いを馳せてしまう。
意匠は変わっているが、芯はしっかりと通っている。 (了)
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