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「エレファントカシマシ 2009年10月24,25日 日比谷野外音楽堂」その1 [ライブ]

本日、拙宅にもアマゾンより予約商品が届きました。
(「エレファントカシマシ 2009年10月24,25日 日比谷野外音楽堂」初回版である)
しかし、LPジャケットサイズとは聞いていたけれど、
でかいなあというのが第一印象である。
しかし、ただ特典の写真集を見ると、ニンマリとしてしまうのであった。
すでに火曜日に届いていた人もあるようだが、
この4時間を超えるボリュームはとても1日で消化できるものではない。
だから、どうしても最初に手が伸びるのは3枚目というのが、人情ではないか。

初回特典のボーナスディスクである3枚目には、
野音ライブの映像をダイジェストにした【ファイティングマン】と、
エレカシ・メンバーのインタビューが収録されている。
前者、【ファイティングマン】のPVは、宮本特集なのである。
おそらく2000年以降と思われる10年分くらいの歌唱シーンが、
シャッフルされて登場してくる。これはまあ、想像の範疇であった。

私にとって興味深かったのは、インタビューの方である。
まず、リハーサル・シーンが和やかであるのに、驚いた。
武道館公演のメイキングや、
「私の10のルール」で放映された荒吐ロックフェスのリハーサルにしても、
リハーサルの場面では宮本御大は基本的にピリピリムード、
というのが頭にこびりついていたからである。
まだ、スタッフクレジットをきちんと読んでいないのだが、
メイキングのためのインタビュアーはいったい誰だろう?
かなり親しい砕けたしゃべり方をしているので、
馴染みの音楽ライターであることは間違いないだろう。

そのインタビュアーが冨永義之に対して、
「エレカシには解散の危機とかなかったの?」
と爆弾質問をしたのは、ちょっと冷や冷やした。
トミはじっくり考えて、何度も「なかったと思います」というのだが、
すごい複雑な表情をするのだ。
それがどの時期を指すのかはよくわかるのだが、
あの自分に言い聞かせるような話し方は、
自分が脱退を考えたことがあると臭わせるような、
とても意味深長な間であった。
(これは発言にはないので、私の勘ぐりです)

オリジナル・メンバーの4人が揃ってはじめてエレファントカシマシであることは、
ファンなら誰しもわかっている。
昨年の『JAPAN』誌上で宮本が、たとえ演奏してもしなくても、
4人全員がステージ上にいないとエレファントカシマシではない、
といったことの重たさがそこにある。
エレファントカシマシとしてドラムを叩くことがままならなかった時期、
トミにはとても苦しい時期だったに違いないが、
それを乗り切って今を迎えて、それさえも受け止められるようになったような、
そんな噛みしめるような回答だった。

石くんの注目ポイントは、髪型の激変が収められているのと、
2日目のリハーサルで宮本に歌を振られたシーンが映っているところである。
しかも、宮本からセリフを吹き込まれて、ショートコントを演じてもいる。
あの少し肩の力の抜けた感じが、武道館公演とは少し違っている。
日比谷野音のライブはどこかホームグラウンドである。

成ちゃんの印象は寡黙であると同時に、人の良さが滲み出ているところである。
「エレファントカシマシが他のバンドに負けない、これはというところは?」
という質問に対して、考えに考えて(その間をつめられるほど長く)、
「バンドをやめなかったことですかね」と答えたところが印象深かった。
偶然だろうが、トミの回答とダブっているのだ。
「契約切れたこともあったし…」と言って、「それでも止めなかったですから」。
というような話をしているところである。
リズム隊にはフロントの二人と違って、
少なからず辛い時期があったことがわかっているので、
今のしあわせな表情のエレファントカシマシを見ると、他人事でなくうれしくなる。

宮本浩次はいつもどおりのマイペースである。
リズム隊の二人がかなり苦しい胸中にあったことは、理解しているのかどうか?
まあ、悪意をもって、ああいう仕打ちになったわけではないだろうが、
やはり蚊帳の外に置かれている状況は、相当に辛いのである。
最近はそれがよくわかってか、全員にまんべんなく気配りするミヤジがいる。
たとえば、メンバー紹介の時にひとりずつコメントを入れるのもそうだし、
演奏の途中に絡みにいくのもそうである。
「自分たちは特別演奏が上手いわけではないけれど、
たぶんこのメンバーのなかでしか上手く歌えないと思います。
きっとみんなもそれを期待してくれていると思うし…」
そんな独語で閉じるインタビューは、
長く説明されるよりも印象的な幕切れである。

本編DVDはまだじっくり見ることができていないので、
3連休にでも消化することにする。
さらっと流してみたところ、
やはり初日の24日はカメラが少なく、そのカメラも解像度の低い物のようだ。
だからこその臨場感や緊張感があり、とてもいい。
25日の方は、本格的な録画機材で収録しているので、
すばらしい出来映えのライブ版になっている。
どちらも演奏と歌唱が素晴らしいので、ファンにはマスト・アイテムと断言できる。
2009年の武道館公演のDVDは、豪華なショーケースであったが、
晩秋の野音のDVDは、いつもの簡素だけどダイナミックな温かいライブ映像である。
こうして振り返ってみると、2009年は実に贅沢で芳醇な1年だったことがわかる。

ライブの公演回数(とくに単独公演)は決して多いわけではなかったけれど、
武道館にはじまって、野音を盛り上げ、カウントダウンジャパンで締まった。
こんなに充実な1年はそう何度も訪れないだろうから、
目撃できた人たちは生涯忘れられない年になることは間違いない。
(了)
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