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『bridge』 66号  [記事&インタビュー]

『bridge』66号 読みました。

bridge (ブリッジ) 2011年 01月号 [雑誌]
●エレファントカシマシ
大傑作アルバム『悪魔のささやき~そして、心に火を灯す旅~』完成! 
なぜ新作はかつてないポップさと攻撃性を同時に手にすることが出来たのか!?
宮本浩次が語る!
「RO69」上の惹句。
インタビュー&写真: 渋谷陽一



良くも悪くも「ロッキング・オン社」的なインタビューである。
しかも、社長(恩人)によるインタビューなので、
取材対象(上位)と記者(下位)という構図ではなく、
対等な発言量のある「対談」になっている印象がある。

内容は新作アルバム『悪魔のささやき』について、
全曲解説を聞き出すというもの。
1曲ごとに見出しを区切ってないので、
再読時に該当箇所を参照するのが面倒である。
ちゃんと1曲ごとに区切りを入れておけば、
気になって見返すときの読者の利便に適うものになっただろうに…。

渋谷氏は先日の『bridge』誌上で、
「ファンはエレカシにもっと厳しくあるべきだ」と発言していたので、
どれだけ厳しい発言かあるかと興味を寄せていたのだが、
いつもどおりだった。
ほぼ絶賛と言ってもよいくらいだ。
そして、いつものように発言を翻訳して、自説を語る部分もある。
(翻訳するのはやりすぎである。先達かつ恩人の発言を否定できるとは思えないので。)

そこがロッキング・オン社のエレカシ記事の悪いところである。
インタビュアーがアーティストの意図を代弁してはならず、
内容はアーティスト本人の口から聞き出すべき、
というのはインタビューの鉄則。
対談やレビュー(署名記事)はこの限りではないが、
インタビューというものは、「聞き出す」というところに本義があるのだから、
ロッキング・オン社のインタビューはそれを逸脱していると言える。
基本的な内容は、これまで語られてきた楽曲解説と同じだった。
個人的に参考になったのは、「ヨロレイン」の由来がわかったこと。
意味はなく、仮歌からそのまま転用したとのことだったから、予想通りである。

口絵写真は、格好良くキメた写真なので、アーティスト写真としてはなかなか。
ただ、色味を加工していると思われ、青みがかっているのが気になる。
そもそも『bridge』の誌面は紙質がカラー向きではないので、
きめ細かい色味が表現されない。
さらに加えて、そこに加工を施しているので、色覚障害のような幻惑を受ける、
色味のおかしいページになっている。
被写体も構図もよかっただけに、余計なことはいらなかった。

登場メディアをざっと眺めてきたが、こんな印象だ。
写真については山崎洋一郎氏のスナップショット的なものがよかった。
アルバム・インタビューは、記事ならば『音楽と人』がよく、
ラジオならば『ほぼ週刊宮本浩次ナイト』がよかった。
ロッキング・オン社のインタビューは、エレカシに関しては親密度が高すぎて、
取材対象と取材記者の一線を越えすぎている気がするので、改善して欲しい。
仲がよいのは分かるが、仕事では一線を引いてもらいたい。

記事中にあった、アルバム中の3つの要点が
【moonlight magic】【彼女は買い物の帰り道】【悪魔メフィスト】である
というのは、アルバム鑑賞の手引きになると感じた。
私は【彼女…】ではなく【旅】かなと思っていたからである。
【moonlight magic】が「陰気」だということを再三述べているが、ここでも述べていて、
聞き手の印象と作り手の印象がだいぶ離れていることに驚く。
曲調としては精一杯明るくしたのだろうが、中身は【明日への記憶】と重なる内容だから、
沈鬱さが残っているのだろう。

しかし、記事云々、写真の色味云々はさておき、
『bridge』は部数が出ないからか、内容量に比して価格が高い。
誌型は『JAPAN』よりも小さく、行間も広いので文字量も少ない、
その上に紙質もザラ紙でページ数も150頁そこそこ。
内容を工夫するか、人物相関図のようなアーティスト特集に特化した内容にしないと、
『JAPAN』との明確な棲み分けができないと思われる。
タワーレコードのフリーペーパー『Bounce』のピープル・ツリーみたいに、
アーティストに関連する音楽を図示するようなものを入れると、
おそらくもっとよい雑誌になると思う。
季刊(年4回)にペースを落としてもよいから、内容を充実させることを望む。
『bridge』は最近パワーダウンが否めないからである。
(了)
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