歌詞を聴き取るのは難しいものだ

新曲がラジオで解禁されると、On Air Checkをして録音する。
そうして、一刻でも早く理解しようと、耳で歌詞を読み解くのだが…、
一度として正確に取れたことがない。
むしろ、あちらこちらに空耳をつくってしまう。

【新しい季節へキミと】の「ここらはじまりのグラデーション」などは、
どうしても「○○ーション」がわからなくて四苦八苦した。
あとは「昨日はキミと話せなかったからブルー」の「ブルー」も、
歌詞を見るまでまったくわからなかった。（「空振る」だと思っていた）

11月16日発売のシングル「ワインディングロード / 東京からまんまで宇宙」もそうだ。

【ワインディングロード】のサビに登場する
「己を晒して行こう　ゴー」の「ゴー」がどうしても聞き取れなかった。
『Bridge』のインタビュー記事を読んで「ゴー」の存在を知ったのである。
（【It's my life】の「still life」が「city life」に聞こえてしようがないことがある）
エレファントカシマシの宮本浩次の歌唱は、
聞き取りやすい方だと思うが、字余り字足らずの歌詞が多いので、
文節がはっきりしないものが多く、そこで空耳を起こしてしまうことが多い。
あるいは、突如として差込まれる英語。
今回の「ゴー」などはそのひとつ。
「おのれをさらしていこうごー」と音だけ並べると、
「いこうご」？　「さらしてぃ」「こうご」？　などと思うのである。

あと、後半のサビに登場する「気を付けな」の手前の「○○でゆくぜ」が、
ずっと考え込んでいて、ようやく「諸刃（もろは）でゆくぜ」なんだと解読した。
最初聴いたときは、「その果て行くぜ」なのかとも思ったけれど、
そうすると何で「気を付けな」に繋がるのかわからない。
それで「諸刃（もろは）」だから「気を付けな」なんだと納得した。
歌詞カードをみたら案外ちがっているかもしれないが。

『Bridge』（69号　10/15発売）をざっと立ち読みしてきた。
宮本浩次　×　渋谷陽一　対談のような記事である（インタビューというよりは）。
記事の全体は近況に関する雑談に近いので、
シングル「ワインディングロード/東京からまんまで宇宙」のリリース取材としては、
いまひとつ踏み込みが足りない気がする。
それでもひとつの収穫は、【東京からまんまで宇宙】のタイトルの元タイトルのことである。
最初は「日本（にっぽん）からまんまで宇宙」にしようとしたらしいが、
語感があまりにもスポーツの応援チックになるので断念したらしい。
渋谷陽一は、日本よりも東京のほうが、より生活感が強くてよいと、
相変わらずほめまくっている。

今回のシングル制作は基本的にバンド４人でやることを中心にして、
プロデューサー兼キーボード奏者の蔦谷好位置の立ち位置は、
アレンジについての助言者的なものになったらしい。
だから、蔦谷好位置プロデュースのキレイにまとまってしまう感じが少し抜けて、
EMI 時代のようにエレファントカシマシのバンド色が濃くなったのだろう。

久し振りに「成功願望」を全開にして、「さいたまスーパーアリーナ」で一回やってみたい、
「解散コンサート」と銘打てば埋まるじゃないか、などの発言をくりかえして、
渋谷陽一を苦笑させている。
ちなみに埼玉アリーナは武道館の２～３倍の収容人数（22,500人 - 37,000人）なので、
やってやれない場所ではないと思うが、
満員にするにはプロモーションに工夫が必要な気がする。
かなり積極的にメディアに露出しないと、空席が出る気がする。
ただ、「東京ドーム」の収容人数約４万５千人の公演よりかは現実味がある。

「さいたまスーパーアリーナ」や「東京ドーム」はライティングだけで盛り上げるのは難しいので、
ゲストを招いたり、スクリーンに映す映像などに工夫を凝らさないと、
どうしても間が抜けてしまう。
エレファントカシマシにそれをやる覚悟さえあれば、問題ないのではないか。
ただ、エレファントカシマシの熱心なファンが期待しているのは、
大きな会場で薄い内容のライブをやることではなく、
密度の高いライブハウスなどで時間は短くてもタイトなライブをやるエレカシが見たいのだと思う。
「さいたまスーパーアリーナ」が埋まるか埋まらないかは、きっと企画次第である。
そして、継続してやり続けるためには、プロモーションとステージングに課題がある。
隅から隅までを楽しませるような演出をしないと、
「天井桟敷」「つんぼ桟敷」「めくら桟敷」の人は二度と見に来なくなるにちがいない。 この項目は歌詞の聞き書きについて書いていたのに、 いつしかエレカシのアリーナ公演の実現性の話になってしまった。 しかしたまにはこうした脱線もよいだろう。項目の分類も「つれづれ」にしてあることであるし。（了）