SSブログ

白いジャケツに書いてあるのは… [つれづれ]

2012年10月31日に発売されるされる、シングル「ズレてる方がいい」。
その印象的なCDジャケット。
宮本浩次が墨書されたデザインのジャケットをまとって、
満月の照る和室に座っている、そんな和風な景色だ。
すでに10月14日の日比谷のステージが言っていたように、
耳の不調のときにまとうにはあまりにも刺激の強いデザインで、
ファンのあいだから「耳なし芳一」の名があがるのも無理からぬものがある。
ただ、ジャケットの文章はかな交じりで漢文の経文とは思えない。
何か、いわくのある文学作品が書いてあるのか、と懸命に目をこらして、
はたと手を打つ。その文面の内容に聞き覚えがあるからである。
…といえばわかるだろう、ジャケットの文面は【ズレてる方がいい】の歌詞である。
ただの漢字かな混じりではなく「変体仮名」なので、
江戸古典などを原文で読んでないと読みくだせない、難読文だ。
当て字の漢字さえわかればあとは音読みなのだが、崩し字が初心者にはわかりづらい。
(初心者というのは私のこと)


ズレてる方がいい(通常盤)



左胸
「阿ゝ仮初乃夢てもないより」
(ああ かりそめのゆめでも ないよりはましさ)

「どうせ流す涙奈らおまえと」
(どうぜながすなみだなら おまえと ながしたい)

「旅の道つ連ハ消え」
(たびのみちづれは きえないりそうさ)

「こ満て行つて」 (どこまでいっても ゆくあてのないたましい)

左腕
シワがよりすぎて判読不能

左足
「河寸涙奈良」 (どうせながす なみだなら)

「よりハ満志沙度」 (ああ かりそめのゆめでも ないよりはましさ)

右胸
「旅能道つれハ消え」
(たびのみちづれは きえないりそうさ)

「当こ万手行つても行く阿て」
(どこまでいっても ゆくあてのないたましい)

「戦いニ古多わつて破れいく」
(たたかいに こだわって やぶれいくさだめとしても)

「移ろう世けんにやあ」 (うつろうせけんにやあ ずれてるほうがいい)

右腕
「高鳴る胸を動可す物ハ何だあ」
(たかなるむねをうごかすものはなんだあ)

「阿能角曲」 (あのかどまがれば ながれるあついなみだ)

右足
「戦い」 (ああ たたかいにこだわって)

「め多として毛移」
(やぶれいく さだめとしても うつろうせけんにやあ ずれてるほうがいい)

解読にあたってはAmazonの通常版シングルページの拡大画像を使用しました。
興味のあるかたは比較して確認してください。
難読箇所は、聞き書きしてある歌詞と照らして、該当箇所をひっぱりました。

大学の一般教養で古典をとっておいてよかった。
ちなみに読んだのは秋成の『雨月物語』。
とりあえず、今日の発見を今日のうちに。見にくいのであとで色分けします。
(了)
nice!(0)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

nice! 0

コメント 2

PENNPENN

シジフォスさんこんにちは。
今回の白ジャケットの解読、興味深かったです。
私なんかは変体仮名というものがあることも知りませんでした恥
宮本さんがどんな想いであの白スーツを着たのか、
スタッフの方はなぜあのような
ジャケットにしたのか…

MVのイメージとはだいぶ違いますよね。
MVの世界観のままのジャケットが恰好よかったのじゃないか…などと思ったり
でも、あれはあれで印象深い、
珍しい(徳利とまん丸月がユーモラスに感じてしまいます)宮本さんなのでいいのかと思ったり…

野音から早2週間ですね。
レポートをまた読ませていただいて、薄れかけていた記憶がまた
蘇ってきたりしました。
今週には、のぼうの城も公開されますね。
大スクリーンを前に聞く、ズレてる方がいい を聴くのを楽しみにしたいと思います。
それでは、また寄らせて頂きますね
by PENNPENN (2012-10-29 08:18) 

黒のシジフォス

> PENNPENNさん、コメントありがとうございます

変体仮名というのは近世文学などで見られる、異体字のかなのこと。
そばやの幟(のぼり)の「生楚羽(きそば)」ってヤツもそうです。
私も囓っただけなので、かなり怪しい知識ですが、
近世日本文学を専攻された文学部の人にはおなじみの表記です。
おなじ音でも表記が違うし、崩し方で読めなかったりするので、
初心者には難読なんですよ。

MusicVideoは映画と同じ、犬童一心&樋口真嗣監督なので、
なかなかよい出来だと思いますが、
高緑成治・富永義之・石森敏之ファンには納得がいかないでしょう。
映画と宮本浩次のプロモーション的なカット割りが多いと思います。

日比谷野音のレポはまだ下書きで、
手を入れようと思っているゲラみたいな段階です。
MCの位置とか、仕草とか、余所でだいぶのぞいてきたので、
もう少し正確なものに直そうと思っています。
大要はまちがっていないと思いますが、全然正確ではありません。

「のぼうの城」ぜひ楽しんで鑑賞してきてください。
何しろ、実話に基づくフィクションですからね。
登場する忍城(おしじょう)は埼玉県の名城です。
撮影したのは北海道の苫小牧の湖のほとりらしいですが。
by 黒のシジフォス (2012-10-30 00:48) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。