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『JAPAN』10月号と『音楽と人』10月号を読んで [記事&インタビュー]

写真に関しては、宮本浩次は(美男という意味以上に)いい顔しているなあ、
という感想しかない。
「不惑」(40歳)を迎えるまでの修行僧のような険(けん)がなくなっている。
「俺って格好いいだろう」的な照れ隠しの衒(てら)いはあるけれど、
いい意味の自然体が誰に撮られても出るというのは、
よい年の取り方をしている。

どちらのインタビューもNEWシングル『明日への記憶』のPR露出である。
しかし、相変わらず、作品そのものよりも近況の雑感が上回っている。
「職業柄、散歩を事としている」的な発言に苦笑い。
まるでカントのようだ(哲学者カントは散歩を日課として、仕事のように歩いていた)。

バンド・メンバーをとてつもなく信頼しているくせに、、
何かすると「俺ひとりでもやっていける」となりそうな自分を引き戻してくれる、
ファンの温かい叱咤に感謝していた。(ファンクラブイベントはその表明かもしれない)
そう、エレファントカシマシは宮本浩次を看板にしたバンドではあるけれど、
看板はそれだけじゃあ立たない。
フレームもあれば、脚もあれば、倒れないようにする金具も必要だ。
おそらく、見栄えのする前面は宮本浩次の領分なのだろう。
しかし、その背後は石森・冨永・高緑がしっかり支えているのである。
それがわかっていて、それを素直に口に出せる宮本は格好いい。

今、宮本がうたう友情の歌の説得力は、まさに実感がこもっているからだろう。
日比谷野音の【友達がいるのさ】の突き抜けた温かさを思い出してみればわかる。
『JAPAN』『音楽と人』、そのどちらもで、池袋の話を挙げていた。
久しぶりに歩いてみたら、ずいぶんと景色が変って、馴染みのものが無くなっていたと。
あるいは、4人でセッションしながら土台となるサウンドを作ってから、
プロデュース&アレンジを依頼する蔦谷好位置に上げて、
もうひとつ練り上げるという作業になっているとも。
つまり、最初の音作りは純粋にバンド4人で制作しているという、
そんなバンドの結束力がうらやましい。

【明日への記憶】はシングル「幸せよ、この指にとまれ」発売日くらいの録音らしい。
それから、ファンクラブ・イベントにはあえて山崎洋一郎を招待しなかったらしい。
まあ、純粋なファンではないし、特別の意味を引き上げたかったのだろう。
招待されなかった山崎洋一郎が、悔しがっているのがまたよい。
宮本が最近トミのドラムを誉めることが多い。
トミのドラムが格好いい、よい音を返してくる、などなど。
そう、実際、冨永義之のドラムの艶っぽさ、大人の魅力は、
そんじょそこらの小僧っ子バンドでは絶対出せない、人柄の滲んだドラムだ。
ライブへ行くと、トミのドラムで気持ちが高揚するシーンが何度となくある。
それに釣られてか、今年は成ちゃんのベースもかなりゲキ渋である。
あとは石くんのギターが揃えば、天下無双というようなものだが、
石くんの存在感は最近やや薄い気がするのは私だけか?

ギターが3人いるということもあるし、
定番フレーズを弾いていることが多いこともあるのだけど、
あんまりやんちゃじゃないなあ、という印象なのだ。
石くんには、新しくコーラスの役割を振ってみたらどうだろう?

『Japan』と『音楽の人』のインタビュー記事の総評は、
今年のエレファントカシマシの音楽制作の方針を切り取った、
「幸福な」一風景である。
ただ、作品の背景に突っ込んでいるというよりも、現況の雑談なので、
【明日への記憶】の歌詞や【歩く男】の歌詞への言及は少ない。
あるいは、キーワードやテーマ性についてもそうである。
だから、必ず手元に置きたい種類の記事ではない。
とくに内容が重複しているので、挿し込み写真の好き嫌いで判断して、
どちらかひとつを買っておけば問題ないと思う。

しかし、ファンクラブ会報『PAO』に楽しみにしてた座談がなかったので、
少なからず肩を落とした。年に4度のメンバーの貴重な情報源である。
宮本御大に関してはラジオ出演やTV出演があるので、
近況が伝わりやすいが、メンバーに関する情報はほとんど『PAO』のみなので、
写真とセットリストのみなので、がっくりしてしまった。
ただ、座談の時間を惜しむくらい音楽制作に打込んでいるという現況はうれしく思う。
秋のZEPP TOURはきっと驚くくらい充実したものが見られるに違いない。
(了)
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コメント 2

かぁーちゃん

こんにちは!

RIJFアーティストコメントの石さん、面白かったです!!
面白くて好きだなぁ。
あのままみんな下向いてるのかなと思ったら
4人ともそれで笑ったのでこっちも嬉しくなりました。
実はなんやらかんやらで【明日への記憶】を拝聴しておりません。
エレカシで作り上げたというエレカシサウンドをぜひとも
楽しみにしときたいと思います♪





by かぁーちゃん (2010-09-06 21:13) 

黒のシジフォス

ミヤジがいたずら心を出して、
普通じゃつまらないから、
「石くんここで空気椅子やっといて」、
と司令を出したのではないか?

インタビュースタッフが気をつかって、
「石くん、大丈夫ですか?」と言ってるが、
がに股奏法の石くんの足腰はあんなものでは折れない。
苦虫をつぶしたような顔で真剣にミヤジの話を聴いているので、
腰が痛くて苦しいのかな、とスタッフが気を遣ったのだろう。

たぶん、違うのだ。真剣に宮本の話を聴いていたのだ。
しかし、石くんを立たせたあとのミヤジの反応がいい。
それから、石くんもヘトヘトの演技をしているのがおかしくて、
ほかの3人が失笑しているのがおかしい。

【明日への記憶】は、
宮本発言を引用するなら「【シグナル】と同じようなテーマの曲」らしい。
名バラードですね、と褒められると、
バラードかどうかはわからないけど、ストレートなロックだと答えていた。
この曲をやるとエレファントカシマシ自身が昂揚すると。
楽しみに発売日を待つといいよ。
by 黒のシジフォス (2010-09-06 23:55) 

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