SSブログ

今夏(2011)「ひたちなか」で開催することに反対する [つれづれ]

やや時差を経たアルバム発売ツアーである、
「LIVE TOUR2011~悪魔のささやき そして心に灯をともす旅~」が、
順調に消化されていることを遠見に安心している。
ライブハウス・パートは満員御礼の大盛況、
ホール・パートは今のところ空席があるようで、少し残念に感じているが、
参加された方々の感想を読む限り、内容については何ら心配がないようだ。

そんなに空席があるのなら、参加見送りを考えていた私であるが、
時間をつくってのぞきにいこうか、と本気で考えてしまう。

さて、それは閑話(ひまばなし)。
今回どうしても書きたいと思ったことは、
エレファントカシマシの参加も決まっている「ROCK IN JAPAN2011」についてである。
端的にいえば、私は今年の8月に茨城県のひたちなかで開催することについて、
あんまり賛同できないからである。
…という趣旨の内容を追記部分に書くので、内容に了解されるかたのみ読んで下さい。



大っぴらなブログではなかなか見かけないので、
あえて火中の栗を拾おう。

被災地である茨城県で通常どおりのイベントを開催することは、
風評被害の防止や、災害復興の一助となることはたしかである。
だが、原発災害と余震のおさまらない今年に開催をすることは、拙速だと考えざるをえない。
私は3度参加しているので、彼の地で体験する野外フェスのよさをよく知っている。
しかし、今年に関しては事情が別である。

(1) 本震に近い余震が起こる危険性がある。(津波・液状化被害)[ひたちなか市の被害]
(2) ひたちなか市は福島県に近接する積算被爆の高い地域であること。[放射性物質降下量]
線量ソースを追加(6/5)[全国のリアルタイム放射線量マップ]
(3) 10キロ北東に東海原子力発電所が立地していること。

より大きな地図で 日本原子力発電(株) 東海・東海第二発電所 を表示

大別すればこの3点から、大規模イベントが時期尚早であることがわかる。
(1)と(2)に関してはよく知られたことである。
実はあんがいと知られていない(3)が不安要素として大きい。
というのは、マスコミ報道は大きくないが、
東海第二原発が福島第一原発同様に、
津波被害によっって全電源の喪失一歩手前の状態にあったことが、
震災2カ月後の今月になって目立たぬように報道されたからだ。

「東海第二原発、綱渡りの3日半 停止作業の詳細明らかに」
(asahi.com 5月15日)

これらの災害対策(避難経路)についてロッキンオン社が万全を期していれば、
心配はなさそうだから、どしどし参加すべきだと後押ししたい。
ただ、残念ながらロッキングオン社のサイトは、
原子力関連、電力関連への言及がまったくない(メディア・コードでも敷かれているように)。
当然、公式ページにもそれら現実に予測されている災害の余波に対して、
避難経路の確認や注意喚起がないので、安全性を確認できない。
大規模イベントの主催者の責任として、観客の安全を担保するためには、
空間放射線値や積算放射線値などを公開すべきである。
あるいは、余震や津波が起こった際の避難路の確保および安全の確認、
その万全の準備について公開すべきである。
あるいは、また、至近距離にある東海原発の安全性について、確証を記すべきである。

収益事業の大規模イベントであるから、
マイナス要素を知らせたくないのは理解するが、
隠してもいずれ知れることなのである。
ならば自ら公表した方がいさぎよい。
東京電力のような体質の会社になりたくないならば、
ことに災害に対する危険性については周知すべきである。

私は今年の同地での開催を既説の理由において拙速と考えるから、
読者の方々にははっきりと参加見送りをおすすめする。
「JAPAN JAM」の第1回開催についても、やや苦言を呈したが、
今回の強行とも思える開催にはさらなる苦々しさを覚える。
あの数万を数える参加者が砂塵吹きさらしの海浜公園に集まることが、
不測の事態に対処できない危険性を高めることは、火を見るよりも明らか。
せめて開催規模を縮小する英断をできなかったのか。

これが来年であればまた事情が異るはずだ。
立地環境から、富士山麓→東京ベイエリア→新潟苗場スキー場、
と会場変更をして名をあげたFUJI ROCK FESTIVALの先例もある。
開催地を1年のみ変更するなり、
開催規模を縮小するなりの配慮ができなかったものか。

「ROCK IN JAPAN FES」 にもロッキンオン社に何の遺恨もないが、
今夏の例年どおりの開催については、どうしても賛同できない。
「2ch」等、一部の掲示板では話題になっているが、
一般のメディアやブログ等ではほとんど触れられていないことを危惧する。

(了)

[追伸]
米研究グループ「大地震の恐れ」 茨城沖、ひずみ蓄積か
2011年5月20日 朝日新聞

こんな続報も入ってきた。
災害の余波が収まるまでは、
茨城県の海岸沿いは大規模イベントには適さないことが明らかになっている。

三陸~茨城沖 M7超余震のおそれ
6月9日 21時56分 NHK News WEB

アメリカの研究グループにつづいて、政府の地震調査委員会でも茨城県沖余震に注意情報。
「巨大地震から時間がたち、各地の地震の回数は全体的に減ってきているが、
どこで地震が起きてもおかしくない状況には変わりがなく、引き続き注意する必要がある」
との見解を発表している。
[続・追伸] 6月1日記す

ROCK IN JAPAN FES2011の公式ページに放射線値の情報が発表された。
5月26日(木)に計測された情報である。
一見すると、東京や神奈川あたりと大差ないような数値に見える。
ただ、この数値には「但し書き」が必要なのである。
それは、計測した「HPI社製5000型シンチレーションサーベイメータ」という機器が、
γ(ガンマ)線とX(エックス)線の2種しか計測しないタイプだからである。

放射線にはほかに、α(アルファ)線とβ(ベータ)線という種類があって、
計測値を上げる原因物質はむしろこちらの方にあることが多い。
つまり、γ線とX線に絞ると、見かけ上の線量値が下がるのである。

ネット上で少し調べれば分かるが、
透過性という意味ではα線とβ線はそれほど強力なものではなく、
布や遮蔽物で防護することができる。
しかし、それくらい防護のしやすいα線とβ線であっても、
長時間の屋外活動をする際には、呼気や飲食から内部被曝にいたる危険が残る。
実際、国営ひたち海浜公園(訂正6/5)における被爆の危険は、
単純な空間線量(空気中を漂う放射線)だけではなく、
降り積もった放射性物質をホコリとして吸引するほうが大きいのである。

遮蔽マスクとゴーグルをして、飲食を屋外で行わないのなら、話は別であるが。
長時間の屋外活動を行う場合は、
放射性物質が地上に堆積した積算量を考えなければならない。
その場合は、α線とβ線をふくむ放射線量を計測しないと、「安全」を確認できない。

放射線量の計測方法に対する疑問については、
写真家・藤原新也も自身のブログで警鐘を鳴らしている。
「個人が身を守る時代」(2011/05/23(Mon) )
http://www.fujiwarashinya.com/talk/index.php?mode=cal_view&no=20110523

行くか、行かないかは、すべて個人の危険度判定によるのだろう。
ただ、アンテナを張って正確な情報を収集し、
「安全」を確認できない場所には、なるべく近づかないのが賢明である。
私は本文でも述べたように、今年の同地における開催は危険があると認識している。
放射線の線量も積算値を考えると、8月でもかなりの残量があると推測する。
福島第一原発が完全に屋内遮蔽されて、
高濃度の放射性物質が漏れ出る心配がなくなれば、
半減期の短い核種は線量が激減するので心配なくなると思うが、
今年はどうやらそこまで収束しそうにない。
しかし、何と言っても恐いのは余震である。
福島県沖や、茨城県沖の余震は数は減っているが、収まったわけではない。

オフィシャルが「安心・安全」な数値を発表してきたが、
私はあまりそれだけで「安心・安全」を吹聴する気にはなれない。
nice!(0)  コメント(6)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

nice! 0

コメント 6

ばーば

確かに・・おっしゃる通りですね。
実は数人で先行応募して・・すんなり全員当選したことが不安になりいろいろ調べて
結局やめることにしました。。

汚染の恐怖もありますが、何よりこの非常時にひたちなかで開催することに違和感を覚えます。

復興の為とかいう問題じゃないでしょ、と。

こういった開催について疑問を抱いた記事は少ないので大変参考になりました。ありがとうございます。
by ばーば (2011-05-25 17:44) 

黒のシジフォス

> ばーば さん、はじめまして。
返信が遅れて申し訳ありません。

ご購入を決められていたのに、キャンセルをするのは悔しいですね。
ただ、私は記述した内容などから、安心・安全のためには、
参加をとりやめることが一番だと考えます。

余震が完全に収まり、東海原発の津波対策などが済めば、
以前通りの平常開催と呼べますが、
対策の取られていない「国営ひたちなか海浜公園」は、
やはり不安要素のつきまとう場所です。

風評にならないように、具体的な根拠を示して記述したつもりなので、
それを勘案し、参考にしていただけたということで、
項目を立てた甲斐がありました。
貴重な意見を寄せていただきありがとうございます。

くだらない話もやっておりますので、
また、冷やかしにのぞきにいらして下さい。
by 黒のシジフォス (2011-05-29 12:37) 

黒のシジフォス

訂正
× 「ひたちなか海浜公園」 → ○ 「ひたち海浜公園」
by 黒のシジフォス (2011-06-05 13:15) 

はる

「ひたち海浜公園 津波対策」で検索してたどり着きました。
まったく同感です。

大きな余震も予想されてるし、福島第一もまだまだ悪化しても全然おかしくないのに、そんな場所に若者集めるなんて…。
毎年行ってましたが、今年はやめました(←自分若者じゃないくせに!)
その代わり大阪方面の埋立地で開催されるイベントに参加しようかと思ってますが、そちらも安全に関するインフォメーション全くなし。

「この業界も安全より金か・・・」と悲しくなりました。
経験上どのフェスも、帰りのバスに乗るのに30分以上かかるのに、不測の事態にどう避難誘導するつもりでいるのかと。
この状況で、やってしまえ!という無責任さが日本企業クオリティなんでしょうけど。

ロッキンオン社の「雑誌だけじゃ食っていけねぇし!」って声が聞こえます。






by はる (2011-06-28 22:27) 

デッドヘッズ

同感です。
計測最大数値、0.438は、平常の8倍程。
福島第一原発由来であることは、明白。
表土除去を、ロッキン、公園に嘆願中。

今年は、ステージの数が減っているので、
除染作業の予算はあるはず。

ロッキンは、自ら率先して、表土除去を行うか?
問われている。
by デッドヘッズ (2011-06-30 23:00) 

黒のシジフォス

> はるさん
> デッドヘッズさん
コメントありがとうございます。

> はるさん
私も3度参加したことがあるので、会場の様子をよく知っています。
だからこそ、余震や津波にともなう対応の重要さを考えて、
対策のない今夏の開催に反対しています。
ロッキンオン社は「安全」を謳っていますが、
避難路や大規模余震時の対策について明示していません。
だから、私には安全と考えることはできません。見切り発車だと思います。
放射能の被爆線量もあるし、余震のさいのパニックも考えると、
海外沿いの「ひたち海浜公園」で開催することの危険を今もぬぐえません。
社会問題への意識が高い会社だと考えていただけに、残念です。

> デッドヘッズさん
被曝線量の問題は無視できないと思い、個人ブログで書きました。
2chや原発関連のブログを展開されている方の記述にはあるのですが、
「ROCK IN JAPAN FES」を明示して、危険性を指摘しているものが少ないので、
空間線量と同時に内部被曝への注意を喚起したいと考えました。
「たった3日間だから、大丈夫」という風説もあるようですが、
関東圏の空間線量が平常値よりもかなり高いことを考えると、
内部被曝を含めた被爆線量値の高い場所で、
砂塵にまみれることのリスクをきちんと参加者に伝えるべきだと思います。

オピニオン誌『SIGHT』が「原発」特集を組んだので、立ち読みしてきました。
が、自社の大規模イベントでの被爆対策については触れていなかったので、
正直、がっかりしました。他人事だらけの特集でした。
ひたちなか市は線量値を見るかぎり、ホットスポットのひとつですよね。
そして、海浜公園は砂塵舞う、内部被曝の危険の高い場所です。
ストロンチウムやテルル129という内部被曝による高い危険をもつ物質が、
福島県を超える広範囲に飛散していることが知られいます。
除洗などの対応も考えられますが、
芝生や木立、砂浜などを考えると、大々的にそれらを行うことは難しいでしょう。
だから、事故収束までは、開催地の変更が望ましいのだと思います。

原子力災害によって、あの爽快な空間を失うことは残念ですが、
現実を直視すればするほど、今年の開催は主催者のビジネスでしかありません。
今からでもよいので中止したほうが懸命だと思います。
払い戻しをするか、別イベントの振り替えにしてはどうでしょう。
by 黒のシジフォス (2011-07-03 00:04) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。