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エレカシ短歌『浮世の夢』 [二次創作]

ひまつぶし企画「エレカシ短歌」の何回目か。
前回にひきつづいてEPIC中期の傑作『浮世の夢』。
前回でとりあげた『生活』と同様に永井荷風とゆかりの深い内容だ。
アルバムのタイトル「浮世の夢」は、
私が推測するところ『墨東綺譚』の作中に登場する小説からと思われる。
永井荷風後期の傑作とされる同作で、荷風の映し姿と見られる主人公の作家が、
机のなかにしまっておいて未発表のままの書きかけの小説が「浮世の夢」という題なのだ。
アルバム『浮世の夢』は景色が和風なこともあり、短歌や俳句の七五調にぴたりとはまる。
実は最近、荷風の訳詩集『珊瑚集』を熟読して、思うところが多い。
(了)
エレファントカシマシ『生活』


【「序曲」夢のちまた】

暗くなる部屋にて
思う春もあり
夢のちまたは忘れゆくのみ

【うつらうつら】

愚かなる町の
窓辺に雀来る
楽しく眺む うつらうつらに

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第6回音映画祭のリクエストに「扉の向こう」がリストアップ [つれづれ]

関東近圏の方以外はまったく蚊帳の外の話題になってしまうが、
吉祥寺にある老舗映画館の吉祥寺バウスシアター(http://www.bakuon-bb.net/)が、
ここ数年展開している企画上映に、「爆音映画祭」というものがある。
ライブ・コンサートの機材をつかって、映画を大音量で見ようというようなリクエスト上映で、
その企画内容から音楽映画が再上映されることが多いそんなイベントである。
その第六回大会のリクエストにエレファントカシマシのドキュメンタリー「扉の向こう」がリストアップされている。

吉祥寺バウスシアターとエレファントカシマシはゆかりが深いことは、
少し歴史を紐解けば容易にわかることである。
たとえば、アルバム『5』の発売時にアルバムごとの全曲演奏会をやったのが、
まさにこの会場だからである。
そして、「扉の向こう」が劇場公開用に編集しなおされて上映された時も、
東京の上映館はここだったのである(のちに渋谷でも再上映されたが)。

さて、件の第6回大会の作品リクエストの第一回投票で、
「扉の向こう」がダントツの1位を獲得している。
今週末の3/9から本上映をかけた決戦投票が始まるのだが、
おそらくここでもかなりの後押しが推量され、再上映になる可能性もかなり高い気がする。
エレファントカシマシのライブ活動が制限されてファンの憂悶があるこの頃、
やはりエレファントカシマシ関連のイベントが生まれるということは、
明らかにフラストレーションを発散する大いなる出来事だからである。
このイベントのWEBページには、投票と合わせてメッセージボードが用意されているのだが、
このメッセージボード(こちら)が振るっていて、投票結果と同じようにエレカシ・ファンの言葉でうまっている。
まるでファンからエレファントカシマシへのメッセージ大会だ。

かくいう私も、リクエスト一票と共に短文のメッセージを残しておいた。
「扉の向こう」の初公開時に、レイトショーを観に行ったひとりだからだ。
エレファントカシマシのファンとしての「普請虫」という号は、あの頃に思いついたのだ。
その由来は別ページにもあるように、森鴎外の掌編小説「普請中」にあり、
その作品に接したのがエレファントカシマシの【歴史】という作品からの強い影響なのだ。
もちろん「山椒大夫」や「阿部一族」や『渋江抽斎』もその流れで読了した。
そのなかでも自分のなかでは「普請中」という作品が胸にせまった一篇であった。
「扉の向こう」のなかの制作シーンもいうならば「普請中」に通じるものがあり、
だからではないが、森鴎外と「扉の向こう」と普請虫は切っても切れない。

「扉の向こう」の上映は2004年であったから、約9年前になる。
今年はエレファントカシマシがデビュー25周年の年にあたることだし、
まさにその中盤にあたる2003年の『扉』制作の模様は、
アニバーサリー・イベントとしてふさわしいかもしれない。(了)

追記 2013/03/17
第6回音映画祭のリクエスト企画は投票者の不正行為で中止になったと発表がありました。
問題になったのは「扉の向こう」と「愛のむきだし」という2本の作品のようですが、
機械的なプログラムによる投票行為があったようです。
リクエスト・コメント欄を見るとわかるのですが、「扉の向こう」に投票したファンのほとんどは、
不正投票に関係しない人と思われます。
(なにしろ200を超えるコメントは機械投票できませんから)
http://www.bakuon-bb.net/request.php   「そして今回の2作品の上映を願って投票された方たちのために、
   今後何らかの方法で両作品を上映する機会を探っていきたいと思っています。」
とあるので、「爆音上映会」とは別にリバイバル上映が適うことを待ちましょう。


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PAO 66号 [記事&インタビュー]

某所では(まあ有り体に言えば2chだが)、
「追悼特集」のようで嫌だという書き込みをみかけたのだが、
私はあまりそういう印象ではなく、
いろいろなパンフレットやジャケット写真のアウトテイク集だなと思った。
まさに企画そのままのことである。
ただ、それにしてはメンバー写真が少なく、宮本浩次写真集だとは思った。
ただ、宮本浩次は写真フレームのなかで様になる、歌舞伎役者のような存在感だとも思った。
動いてしゃべるとあれほど滑稽味があるのに、静物画然と写真におさまると
彼が居宅に飾る文人たちに負けず劣らずの風貌であるから、これ不思議である。
それにしても、カメラマンの岡田さんは煙草を吸わせすぎだ。
まるでJTの広報ばりに、ことあるごとに浮雲男をやらされている。
たぐいまれなる歌手なのだから、佇まいの妙味もわかるが、のどに気をつかって欲しい。

表紙写真の「宮本、うしろ浮雲男」がのぞけるので、チェックされたい。
オフィシャルのfan club入会案内ページに小さい写真 ここから
所属事務所のオフィシャルTwitterの画像ページに少し大きい写真 ここから

喫煙はある時代までは「男の象徴」みたいなところがあったけれど、
いまは医学が喫煙の百害を明らかにしている時代だから、
むらさきの煙に粋(いき)を求めていると、病床で痛い目を見る。
喫煙者は病床にふせると最後に病が肺に飛ぶからだ。
ニコチンはマリファナよりも中毒害がひどいとも言われるし、
何より、タールは再生のきかない肺細胞を傷めまくるので、早くやめるにこしたことはない。
病床の酸素吸入器ほど痛々しいものはないから、壮年のうちに禁煙することが、
生涯現役ミュージシャンを保証する条件のような気がする。
それにしても、うしろ背の浮雲男も格好いい。
(了)
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エレファントカシマシ作品に想を得た小説 [二次創作]

蔵出し企画のひとつ。エレカシ作品を題材とした二次創作。
その幾つめかのいちばん難しい部類のものを出してみようかと思う。

その昔、バブル経済華やかなりし頃、音楽雑誌に『月刊カドカワ』という不思議な雑誌があった。
音楽業界のことを扱い、ミュージシャンのインタビューや作品紹介などをやりながら、
ミュージシャンにエッセイや小説や詩作をやらせて、ひとつの月刊誌としてまとめていたのだ。
現在これに似た雑誌に『papyrus』(幻冬舎)があるが、『月刊カドカワ』はもう少し違う印象だった。
その『月刊カドカワ』がよく掲載していた企画に、特集するミュージシャンの作品を小説にするというものがあった。
私がよく覚えているのは、『博士の愛した数式』で人気になった小川洋子が、
まだそれほど著名にならないころに、佐野元春の作品に想を得てかいた短編集である。
「ナポレオンフィッシュと泳ぐ日」とか「情けない週末」とかではなかったかと思う。

エレファントカシマシの作品に想を得て小説化するというのは、かなり難しい。
というのは、エレカシ作品が作者宮本浩次の私小説の側面を色濃く帯びているからである。
しかし、これをそのまま引用して広げるような創り方をすれば、
それは
歌詞の世界観を意識しながらも、
宮本浩次の作品とはまったく関係のないフィクションにならなければ、意味がないと思って作ってみた。
数作を試作したなかでもっともマシにできた「FLYER」を出してみようと思う。
感想などありましたらお寄せいただきたい。参考にして次の創作の肥やしとさせていただく。
ちなみに、現在のところ試書きしたのは、【FLYER】をふくめ3篇。
ほかに【かけだす男】【so many people】がある。

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ブログのトップ画像を変更(仮)しました [このブログについて]

時間ができずに更新を怠っていた当ブログのトップ画像を2013年版に変更しました。
短時間でつくった「いまいち」画像なので、折りをみて本番ものをつくろうと思います。
コンセプトは、
エレファントカシマシのトレード・マークとなりつつある「富士に太陽」を意識しつつ、
「デビュー25周年」とブログタイトルをうまく配置しよう、というようなものです。

背景の富士山は、葛飾北斎の富嶽三十六景「武州玉川」をキャプチャしてベクター画像にし、
それをトップ画像の縮尺に合うように横伸ばしにしたものです。
オリジナルの「武州玉川」の富士山はもうすこし細っそりした、縦長のデザインです。

「デビュー25周年」のパートは宮本浩次のシルエットをあしらってみました。
男イスのまたぎ弾きといえば、トレード・マークですからね。
説明すると野暮かもしれませんが、
シルエットが若竹色、25周年が紅梅色、デビューが松色です。
富士山に松竹梅というおめでたい塩梅を考えてみました。

読者の皆さまとエレファントカシマシのデビュー25周年が多幸にあふれる1年になりますように、
お祈り申し上げます。
拙文ながら、これをもって新年のごあいさつにかえさせていただきます。
本年も当ブログをよろしくお願い致します。(了)

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